「英語=勉強」から卒業せよ!純ジャパバイリンガル有子山博美の英語物語【純ジャパ英語勉強法】
純ジャパバイリンガル有子山博美の英語学習法
「ありこやま」ではありません。「うじやま」です。私の英語ストーリーを聞いてください。
学生時代に習う「英語」は、「机に向かってせっせと暗記や和訳をする」というイメージが強かったと思います。
初めに、私自身の英語ヒストリーを少し紹介させてください。私が初めて英語と出合ったのは小学6年生の夏でした。近所に英語が好きな友達が住んでいて、毎日NHKラジオ「基礎英語」を聞いていたこと、その影響で私も聞き始めたこと、中学校に入学するまでの半年間、その友達に誘われてキッズ英会話スクールに通ったことがキッカケです。
先生はカナダ人のキャロル先生で、簡単なあいさつや単語ゲームを教わったくらいでしたが、とても楽しくてワクワクしたのを覚えています。キャロル先生と英語で会話してみたい一心で、NHKラジオ「基礎英語」に登場するフレーズをせっせと丸暗記しては、放課後それを使ってみる、ということを繰り返していました。
私が英語好きになったのは、中学校で「英語=勉強」というイメージが定着してしまう前に、英語=コミュニケーションのツールという強烈な印象を植え付けられたからだと思います。
それからは、教科書で登場する単語、英文法、フレーズのどれもが新鮮に感じられ、「これを覚えれば覚えただけ、いつか英語をもっと話せるようになる」と信じて丸暗記していました。
テストではいつも90点以上、外国語大学英米学科に入学し、そこでも好成績をキープ。日本の英語教育の中では典型的な「優等生」タイプでした。学生時代は持病があり、留学することは叶いませんでしたが、国内独学でせっせと英語の勉強を続けていました。
会社員になってからは、英語教材の企画制作に携わりました。TOEICの問題集も繰り返し解いて、何度か受験するうち、960点までアップしました(現在は990点満点です)。
TOEIC満点の、英語ペラペラ純ジャパはいかにして話せるようになったのか?
TOEIC960点でも、言いたいことが言えない!
ところがある日、仕事で実際に英語を使う場面になったときに、言いたいことがまったく出てこない自分に愕然としたのです。
決まりきったビジネス英語フレーズでのコミュニケーション、特にメールのやり取りは何とかなっていたのですが、実際にネイティブとの「会話」となると、“I see.”や“Really?”、“Yes.”の連続。あいづちさえ満足にうてませんでした。
せっかくネイティブの友人ができても、プライベートな話題になると何を言っているのかよく分からないし、伝えたいことの10%も言葉にならない状況。ビジネス英語の定番フレーズは知っていても、ごく日常的な語彙がまったく欠落していたのです。
また、洋画のセリフもほとんど聞き取れませんでした。海外旅行先でミュージカルを観た際も、ネイティブが笑いの渦に包まれている中、自分だけ何も分からずひきつり笑い。
「自分は英語が得意だ」と思っていただけに、それまでに築いてきた自信が粉々に打ち砕かれた気がしました。
好奇心から、ネイティブの英語を徹底分析
「今まで一生懸命やってきた英語は何だったんだろう」「どうせ帰国子女にはかなわないんだ」と一度は英語が嫌になりかけたのですが、「どうして私にはネイティブの日常会話が理解できないんだろう」という好奇心のほうが勝りました。
そこで手始めに、「ネイティブの会話=洋画のセリフ」を徹底的に分析してみることにしたのです。
教材制作の仕事も絡めて、「まずは洋画を100本、英語字幕で観る」ことを目標にしました。『タイタニック』『ショーシャンクの空に』『ラブ・アクチュアリー』などなど、ジャンルを問わず、人気映画を大量にレンタルし、英語字幕を表示して一時停止しながらセリフを確認。
すると、ネイティブの日常会話は拍子抜けするほど簡単な単語の連なりで、短くてテンポの良いフレーズのキャッチボールだったのです。
もちろん、突っ込んだ話になると難解な単語も出てきますし、文も長くなりがちですが、会話を弾ませる「あいづちフレーズ」は、ほとんどが1語〜5語程度のシンプルなものばかりです。学校では習わなかった定番表現(イディオム)や句動詞(phrasal verbs)も多用されていました。
そこでいったん、「学校で習った英語」と「ネイティブの日常会話」は別物だと考えることにし、新しく出合うフレーズで「これは使える」と思ったものをせっせとエクセルにメモし、地道にストックしていきました。
すると、複数の作品で頻出するフレーズや言い回しは自然と覚えてしまうものです。ネイティブの定番フレーズを音や映像と一緒にインプットすることで、次第に字幕に頼らなくてもセリフを理解できるようになり、ネイティブとの会話も弾むようになりました。
映画の登場人物と同じ状況になったときに、その映画のワンシーンが頭に思い浮かび、セリフ(フレーズ)がポンと口をついて出てきたときは爽快でした。
現在の目的を再確認する
学校や受験を通して学んだ英語の知識も、もちろん無駄ではないと思います(多少遠回りはあったかもしれませんが)。英語を読んだり書いたりするときの土台として力を発揮してくれているはずです。
ただ、振り返ってみると、やはり「暗記」や「和訳」一辺倒で、声に出す、アウトプットするというスピーキングのための練習が完全に抜け落ちていたと言わざるを得ません。また、「書き言葉」ばかりストックして「話し言葉」の語彙がまったくなかったこと、「話し言葉」のスピードや音の変化に慣れていなかったことが、ネイティブの日常会話についていけなかった原因でした。
ひと口に「英語」といっても、さまざまなジャンルがあります。日本語と同様、「書き言葉」と「話し言葉」では語彙そのものが違うことがありますし、「ニュース英語」「カジュアルな口語」「英文学」「スラング」では、語彙がまったく違います。
時間が限られている人ならなおさら、英語を学ぶ目的を明らかにして、目的に適った手段とツールで勉強する必要があります。学生時代に、定期テストで高得点を取ったり、受験を突破したりするためには、教科書や問題集を暗記するのが近道でした。では、大人になってから英語を学ぶ際の「目的」は何でしょうか。
おそらく多くの人が、「英語で自由自在にコミュニケーションできるようになりたい」「洋画やドラマを字幕なしで楽しみたい」という夢をお持ちではないかと思います。
そんな方はぜひ、次のポイントを意識してみてください。
- ネイティブならではの自然な英語表現をたくさんインプットする。
- 自分の身の回りのこと、予定や行動、気持ちを、普段から英語でアウトプットする練習をしておく。
難解な語彙をいくつも暗記するより、まずは身近なことから英語化してみましょう。そして、ネイティブが書いた自然なフレーズをできるだけたくさん、丸ごと暗記しましょう。「英語=勉強」という意識から、「英語=コミュニケーションのツール」という意識へシフトしましょう。
最初は丸暗記、真似からスタート
子供が母国語を習得するプロセスをイメージしてみてください。
まずは「伝えたい」という強烈な思いがあって、自分の感情や欲求を伝えるための単語やフレーズから順に覚えていきます。間違いなど気にせずどんどんアウトプットします。大人の会話からも新しいフレーズをどんどん吸収します。最初は丸暗記や真似から始まります。
もちろん、私たちはすでに日本語を身につけているため、日本語の解説や和訳も上手に活用することができます。日本語も利用しつつ、「使える英語フレーズ」を効率よくインプット&アウトプットしていきましょう。
しつこいようですが、「ありこやま」ではありません。「うじやま」でした。
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