トランプ大統領はもう古い!?世界が今最も注目する人物を解説【英語で知る世界情勢最新ニュース】
世界の中心で嵐と噴火と大地震を同時に巻き起こしているような強大怪獣トランプ大統領がすでに前時代の遺物となり、別の人物が世界に大波乱を起こしそうだとの見方があります。
というわけで今回は、「世界に影響を与える重要人物」の最新ニュースをお届けします!
ニュースの中の英語をチェック!
“The Netherlands barred Turkey’s top diplomat from entering the country to address a political rally. That set off ugly diplomatic feuding, name-calling and popular unrest.”
政治集会でのスピーチを予定していたトルコの外相のオランダへの入国を拒否。外交上の反目、非難の応酬、そして政情不安へと発展
-CNN News より引用
Pick Up Word
bar
【動詞】
[意味]
拒否する【bar 〜 from —ing】の形で「〜が—するのを拒否する」
“barred”は、鉄格子などで閉鎖するイメージの単語です。
誰もがよく知る、外側からの攻撃を防ぐ「バリアー!!」は、”barrier”と書ます。
世界で最も熱い人物とは!
【エルドアン現トルコ大統領(左)とバラク・オバマ前アメリカ大統領(右)】
今、世界の台風の目とすらいわれているアメリカのトランプ大統領ですが、世界情勢をみてゆく上で、日本で報道されている以上に注目したい人物がもう一人います。それがトルコのエルドアン大統領です。今月11日に、彼の元で外務大臣をつとめるチャプシオール氏が空路でオランダに向かったところ、オランダ政府が外相の入国を認めなかったという事件がおきています。この事件を欧米のメディアが衝撃をもって伝え、エルドアン大統領はオランダ政府を猛烈に非難しました。
その時に大統領が、オランダ側を「ナチス」と言って批判したことから、今度はオランダのみならずドイツなども、エルドアン大統領の発言は極めて過激と、トルコ政府を抗議する事態となったのです。以前トルコはオスマントルコ帝国として、世界に強い影響力をもった大国でした。オスマントルコはイスラム教の保護者として、長年西欧世界と覇権を争ってきたのです。
そんなオスマントルコが19世紀から20世紀にかけて衰退し、領土が西欧列強に蹂躙されました。それが今の中東地域であり、そこで発芽した民族主義運動が、今も続く中東の混乱の原点となったのです。トルコはその後革命を経験し現在に至っています。そして、戦後には西側の一員としてNATOにも加盟しました。近年、トルコはEUの一員になろうとするのですが、実現されないまま現在に至っています。エルドアン大統領は、そんなトルコにあって、イスラム文化を基調にしながら経済改革を推し進めようと政界にでてきた人物です。
【トルコ国旗。トルコは英語でTurkey。首都はアンカラ】
世界が注目する「超強気」外交!
彼の政策は、西側陣営とは一線をおき、ロシアや中国ともうまく付き合いながら、自らの立ち位置を有利にしようとするしたたかなものでした。トランプ大統領の「アメリカファースト」ならぬ「トルコファースト」ともいえる彼の政治姿勢は、「新オスマン主義」として周辺諸国の戸惑いを導いたのです。
加えて、エルドアン大統領は国内のクルド人勢力の弾圧など、強権政治を推し進める人物としても警戒されました。さらに、政治的ライバルを打倒するなど、独裁体制の確立を模索していることが、なおさらEUとの間の溝を深めていったのです。トルコ国内でも、独裁色を強めるエルドアンの政策には強い反発があることも事実です。ちょうどアメリカでトランプ支持者と反対派との対立が激化しているように、国内世論が厳しく割れる中で、彼は独裁体制を目指しているのです。
【言われてみれば確かにそんな感じの顔にも・・?】
「征服の父」の再来か
ではなぜ、エルドアン大統領が世界情勢の台風の目なのでしょうか。それはとりもなおさず、トルコが中東、特にシリアやイラクと国境を接し、北はロシア、そして西はEU諸国との隣人だからです。トルコがイスラム教国として右傾化したり、独裁国家になったりした場合、西側諸国にとって、中東との防波堤の役割を担っていた国家が不安定になることを意味しているのです。
また、ヨーロッパには大勢のトルコ系移民が居住しています。エルドアン大統領が独裁体制を築くためには、そうした人々の支持も必要です。オランダでのトルコ人の政治集会に、支持の拡大を狙うエルドアン大統領の閣僚が参加することへの懸念。それが外相の入国拒否を決めたオランダの本音だったのです。しかも、オランダは、イスラム系の移民の流入の是非を問う総選挙の直前だったのです。さらに、世界的視野でみたならば、トルコの右傾化は、欧米でのイスラム教への不信感を一層煽ることになり、それがヨーロッパ各国でのキリスト教社会への回帰を目指す右派勢力の伸張へとつながる恐れもあるのです。ドイツのメルケル首相、総選挙で極右勢力をなんとかかわしたオランダのルッテ首相などがもっとも警戒することは、不安定化するトルコに刺激され、EU加盟国の中にそうした排他的な分断主義が横行することなのです。それはEUそのものの崩壊へとつながりかねません。
しかし、今回のオランダの対応がトルコ国民の西欧社会への反発を煽ったことも事実です。それは結局独裁体制を目指すエルドアン大統領への支持を押し上げることになるかもしれません。彼はこのオランダとの紛争を利用して自らの権限強化を問う国民投票へと突き進みたいのです。皮肉なものです。
【メフメト2世(征服の父) コンスタンティノープル征服】
20世紀以降、我々はついついアメリカだけを世界情勢の核として注目しがちです。また、アメリカとロシア、アメリカと中国という視点で国際情勢を判断しがちです。しかし、世界史をみても明らかなように、アジアとヨーロッパの接点に位置するトルコの動静は、国際情勢に常に強い影響を与えてきました。それは21世紀になった現在でも変わってはいないのです。
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