「しょうがないな」を What can I do? と訳した後に必要なものとは…【たった一言の英会話:第16回】
名訳は言葉だけでは生まれない
日本語を英語に翻訳することは時として色々な苦労が伴います。
なんといっても、日本語には日本語ならではの、そして日本の文化に根ざした独特の表現があるからです。
先日、若者同士のこんな会話を耳にしました。
「ねえ、何でこんなこともできなかったの?」
「しょうがないだろ。時間がなかったんだから」
これはどこにでもありそうな日常会話。
気になったのは、この「しょうがいないだろ」といういわゆる「諦め」を表す言葉。
さて、どのように英語にすればいいのでしょう。
そこで、すかさず日本語のわかるアメリカ人の友人が、「What can I do?」といえばいいんじゃないとコメントしました。
確かにその通り。なる程、名訳だなと思いました。
しかし、この翻訳を活かすには、さらに越えなければならない重要なハードルがあるのです。
「しょうがないだろ」という、相手の批判への苛立ちをちゃんと表現しなければ、それはよい翻訳とはいえないということ。
全身コミュニケーション
そこで、大切なことがジェスチャーです。
このようにいうとき、両手の手のひらを上に向けて、両肘を少し浮かせて、目を見開いて相手を見詰めながら、「What can I do?」と言えば、意図通りの気持ちが相手に伝わります。
そして、文中の do を強めに言えばなおさら効果的です。
そう、英語にしろ、どのような言語にしろ、言葉は全身で表現しなければなかなか相手に意図は通じません。つまり、言葉以外の表現 non-verbal communication への理解が必要なのです。
特にボディラングエッジが地味な日本人のコミュニケーションスタイルを考えれば、この全身で表現をすることの重要性は、今後の日本の英語教育では大切な要素になるはずです。
実は、大きなジェスチャーのみならず、例えば椅子に座って相手と商談するときも、日本人は日本社会での礼儀の常識に従って、きちんと背筋を伸ばして、相手に向かいます。
しかし、欧米の人が英語で商談をするときは、椅子にゆったりと腰掛け、足を組んだり、手を背もたれにかけたりと、日本人からみると「横柄」に見えるぐらいリラックスして話をします。
それでなくても、体の大きな欧米人のこうした様子をみて、「マッカーサーの前に座らされている戦犯」のように自分が萎縮してしまう経験をした日本人も多い筈です。
こうした異なるコミュニケーションスタイルに対応して、そこから受ける違和感を克服するには、英語を使っているときは彼らと同じように振る舞う、アクターのようなスキルが必要なのです。
What can I say? と翻訳できても、そのスキルが伴わなければ、相手に意図が通じないというわけです。
このごく当たり前のようなことが、長い間日本人にはできなかったのです。
例えば、会議で自分の意見を相手に伝えたいとき、ただ発言をはじめても、英語での議論の渦の中で無視されてしまうこともあるでしょう。
それを防ぐには、身を乗り出して、目を見張って、両手も使った全身表現が必要なのです。そして、もし誰かが自分の話の最中に割って入ろうとしたときも、Wait. Let me continue. などといった言葉と共に、相手の発言を塞ぐために、人差し指を立てながら手を前に出すなどの強いアクションが必要です。
言葉を全身で表現すること。これがコミュニケーション型の英語を学ぶ第一歩といえるのです。
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