アメリカの歴史に刻む初の"impeachment"なるか【アメリカがわかる英単語】

アメリカの歴史に刻む初の"impeachment"なるか【アメリカがわかる英単語】
February 4, 2017 黒田基子

アメリカの歴史に刻む初の"impeachment"なるか【アメリカがわかる英単語】

英単語からアメリカがわかる【第6回】今回の単語「impeachment」

弾劾。日本では弾劾といえば裁判官の罷免裁判ですが、アメリカでは大統領にも適用されます。トランプ大統領が現実になってからニュースに度々見かける単語ですが、ここ数日その登場頻度を増しています。が、実際には弾劾はめったに起こることではありません。これまで実際に弾劾裁判にいたった大統領はアンドリュー・ジョンソン(1868年)とビル・クリントンの2人のみ。しかもいずれも弾劾裁判で罷免をのがれています。ニクソンはウォーターゲートで訴追されましたが、弾劾裁判になる前に辞任しています。つまり、これまでに弾劾裁判で罷免になった大統領は誰もいないのです。

弾劾の種がてんこ盛りに見えるトランプでも実際に弾劾にまで持ち込むのは並大抵のことではありません。手続きとしては、まず、下院が過半数をもって訴追し、それを受けて上院で弾劾裁判が行われます。その上で大統領を弾劾するには上院で3分の2の同意が必要です。その訴追の根拠として憲法に定められているのは「反逆罪、収賄罪、その他の重罪や不品行」です。大統領にあるまじき発言の数々や、連発する大嘘くらいでは弾劾できないのです。

一番可能性の高いのはトランプエンタープライズとの利益相反がまねく収賄罪ですが、弾劾にあたる罪とするかどうかは訴追する下院の判断に任されています。その下院は共和党249議席に民主党193議席と共和党がかなり上回っています。そして上院もマジョリティは共和党。共和党が自党の大統領を弾劾せざるをえないくらいに切羽詰まった事態にならなければ弾劾は起こりません。つまり頼みの綱は共和党だけということになります。

当初は棚からぼたもちのようなトランプの勝利に大はしゃぎだった共和党ですが、今、共和党議員たちは、苦しい立場に追い込まれています。常識はずれな大統領令を連発する大統領に、就任からたった1週間でますます吹き荒れるプロテストの嵐。政治的リスクを恐れてトランプに同意することも批判することもできずに、大多数の共和党議員はだんまりを決め込んでいます。民主党の議員や州知事や市長が各地で大々的にトランプ批判を繰り広げているのと対照的です。

が、ここにきて共和党議員もトランプ批判をしないでいる方が政治的リスクが高いのでは、と考え始めているようです。中東7か国と難民入国禁止令は世界中で批判の的になり、司法とも対立し、プロテストデモは広がるばかり。そもそも共和党にとっては言うことをきく副大統領のペンスに首をすげかえた方が都合がいいのです。トランプサポーターの反発を恐れずに弾劾できるならそれにこしたことはない。一方、これまでリベラルの間で弾劾を求める声が今一つ盛り上がらなかったのは、トランプの後釜が反LGBT中絶禁止を唱える超保守のペンスだから。が、「トランプはペンスよりはましなのでは」という希望的予測が幻想であったことがはっきりした今、共和党も民主党も無党派リベラルも「トランプをなんとかしたい」ということで一致しています。

なにかにつけて前代未聞続きのトランプはアメリカ史上初の弾劾裁判で罷免される大統領になるかもしれません。


E-CATのスコアレポートではパート別に何点取れたかがわかります!

E-CATは、世界の英語スピーキング教育の拡大に貢献することを目指し、米国で開発された試験です。一人でも多くの方に受験していただくことで、話せる英語の普及につながります。ぜひご受験ください。英語が話せる日本と世界のために!


この記事が好きなあなたにはこの本がオススメ

『アメリカに行こう』の続編がついに登場。アメリカに行くための本は数多くあれど、住むために書かれた本はそう多くありません。15年もの間アメリカに住んでいる著者によって書かれた、住むために必要なことをギュギュッと濃縮しました。アメリカに興味がある人が読むとますます胸が高鳴る一冊。