アメリカ人にとっての「普通のアメリカ」が示唆する、自由と独立、銃社会とトランプ支持の関係

アメリカ人にとっての「普通のアメリカ」が示唆する、自由と独立、銃社会とトランプ支持の関係
September 26, 2017 山久瀬洋二
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アメリカ人にとっての「普通のアメリカ」が示唆する、自由と独立、銃社会とトランプ支持の関係

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メイフラワー誓約一部抜粋(英語と日本語訳)

“For our better ordering, and preservation and furtherance of the ends aforesaid; and by virtue hereof to enact, constitute, and frame, such just and equal laws, ordinances, acts, constitutions, and offices, from time to time, as shall be thought most meet and convenient for the general good of the colony; unto which we promise all due submission and obedience.”
我々がより良い秩序を維持し、その目的を達成するために団結し、その時々の必要に応じ、植民地全体の利益のために最も適切と判断される、公正で平等な法律、命令、法令を発し、憲法を制定し、政府を組織する。これらの誓約に我々全ては同意し従うことを約束する。
ーメイフラワー誓約より

アメリカのど真ん中。ローカルタウン「アイオワ州デモイン」

一般的にアメリカと聞いて多くの人がイメージする場所といえば、ニューヨーク、グランドキャニオン、ハリウッドなどかもしれません。

もちろん、これらの地域は広大なアメリカの中のごく一部にすぎません。
もっと言えば、外国人が頻繁に訪れる地域は、アメリカの中でも極めて限られているのです。

以前、
「ボストン、ニューヨーク、ニューオリンズ、サンフランシスコ、あとは皆クリーブランド」
という言葉を聞いたことがあります。

これは、最初にピックアップされた4つの都市以外はクリーブランドのように、中心街に高層ビルがあり、あとはショッピングモールのある郊外が広がっているという意味です。

つまり逆をいえば、アメリカで個性のある都市はこの4つだけだということを皮肉った表現となります。

ハリウッドのあるロサンゼルスも、街の構造はといえば、確かにクリーブランドに似ています。

アメリカのど真ん中にデモイン(Des Moines)という町があります。
アイオワ州の最大の街にして州都です。
大平原の中にある都市で、ある意味で一般にアメリカ人が典型的なアメリカとしてイメージするのがこの州であり州都デモインなのです。

アメリカの選挙でのこの地域の票の行方は、常に話題になります。
また、新しい商品の売れ行きやテストマーケットのときも、ここでの結果に注目が集まります。
というのも、デモイン周辺こそが最も典型的で普通なアメリカとされているからです。

アメリカ人がイメージする「普通のアメリカ人像」

そんな「普通のアメリカの普通のアメリカ人」のイメージとはどのようなものでしょうか。

比較的早起きで、朝コーヒーとハムエッグ、そしてトーストをかじって車で出社。
朝8時ごろから敷地面積の大きな平屋のオフィスの自分のブースで働きます。
あるいは工場での生産ラインにつきます。
そして、午後は5時前にはすでに退社の準備を整えて帰宅。
家族と共に夕食をとるときは、皆で手をつないでその日が無事に終わったことを神様に感謝。
夕食は家族団欒のもっとも大切な儀式です。
その後、日本の一般の家庭と同じように、テレビをみたり、人によっては書斎で残った仕事を片付けたり。
時には、夜にタウンミーティング (街の寄り合い) に出席して、地元の学校のスポーツイベントなどについての打ち合わせも行います。

日本と大きく違うのは週末、特に日曜日です。
それぞれの家が所属する教会に行ってお祈りをして、時には教会主催のイベントに参加します。
彼らにとって教会とのつながりはプライベートな人間関係を促進する意味からも最も大切な活動です。

これがデモインの郊外の人のイメージです。
“Middle of Nowhere” という言葉あります。
これは、見渡す限りの大草原、大平原にある小さな町。
どこにでもあって、特定できないものの、アメリカ人がこう言えばすぐにイメージできる一般的なアメリカの風景です。

ここで大切なことは、この一般的なアメリカのイメージとして登場する人々の背景が、キリスト教徒でかつプロテスタントだということです。

ヨーロッパでの宗教的な軋轢や迫害を逃れて新大陸に渡ってきたプロテスタントが、この地域の人口の過半を占めているのです。

アメリカの社会を理解するには、このプロテスタントの文化への知識が必要です。

アメリカ人の精神構造の支柱「自由」「独立」そして、銃社会へ

このプロテスタントのイメージを代表するのが 1620年にメイフラワー号に乗ってボストンの郊外に移住してきたピルグリム・ファーザーズと呼ばれる人々なのです。

彼らはイギリスの国教会に組み込まれることを拒否した清教徒、つまりプロテスタントの一派です。

彼らが移住してきた場所で生活するために誓約したのが、冒頭でのその一部を紹介した「メイフラワー誓約」と呼ばれる一枚の紙でした。

そこでは入植地で自らの自治の元、法律を定め、信仰を持ってしっかりと生活を切り開くことが約定されています。

これは、彼らがカトリックやイギリス国教会のように大きな教会組織に属するのではなく、神への個人の信仰によって結ばれる者のみの共同体で村を作り、生産を行うことを記したものです。

この独立と自治の精神がアメリカ人の精神構造の支柱となってゆくのです。

ですからアイオワ州に住む典型的といわれるアメリカ人は、大きな政府からコントロールされることを嫌い、自分のコミュニティのことは自分たちで決め、自らの生活を守るためには銃を持つことも必要と思います。

信仰を共有する自分たちの教会を集合の場として、日曜日に集い、牧師の話を聞きます。
メイフラワー号で移住してきた人々の伝統が今でもいきているのです。
実は、彼らの多くが、アメリカの利益を優先しようと説いたトランプ大統領を選んだ人々なのです。

トランプ大統領の政策への是非はさておき、メイフラワー号の頃から時が経ち、彼らが上陸してきた地域は世界各国からの移民で埋め尽くされ、当時の伝統はむしろアメリカの内陸で保たれたのです。

長い時の流れの中で文化が伝承されるとき、興味深いことが起こります。
ある文化が迫害や宗教の伝道で他の地域に移動したとき、むしろその移動した地域の方で、元々の地域よりしっかりと伝統が維持され、世代から世代へと受け継がれることがあります。
アメリカの多くの地域には、18世紀や19世紀に移住してきた人々の伝統が故郷よりもしっかりと伝承され、いきづいているところがあるのです。

アメリカ社会でのプロテスタントを信奉する人々の意識はまさにその事例といえましょう。
彼らは一般的にヨーロッパの人々よりも熱心な信者なのです。
この背景が我々が外からみても理解できない、アメリカ人独特の行動様式や常識を形成しているのです。

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