達人の教室から:胡子美由紀(えびすみゆき)先生

4月は進学・進級で多くの生徒が最もやる気に満ち溢れているとき。教師も目を輝かせている生徒を前に背筋が伸びる。4月はこの1年間、いや今後の英語学習の行方を左右する大事な時期だ。いいスタートを切り、その後の学びを深めていくために生徒を把握すること、すなわち生徒理解は不可欠だ。生徒理解は学習集団づくりの素地ともなる。

生徒を把握するためのポイント

生徒個々の特性・気持ち・願いを知ることで、多面的・客観的・総合的に把握し生徒との信頼関係を構築したい。とりわけ大事な点として、次の3点を私は把握するようにしている。①生徒ができるようになりたいこと②生徒ができること、できないこと③生徒の生活背景。把握方法は以下の通りである。

胡子美由紀先生

生徒を把握するための方法

(1)インタビュー(面談・スピーキングテスト)

教師が知りたい内容を英語でインタビューする。生徒のスピーキング力や課題も同時に把握できる。実態により、英語では難しいと判断されるときは日本語でもいいだろう。個人で話す時間がとれない場合はグループでもいい。大事なのは、教師と生徒が目を合わせて話をする場・時間を持つことだ。

(2)ライティング(自己アピール・頑張りたいこと・今年度の目標・自分の夢・教師へのメッセージなど)

実際に英文で書かせる。中2以上ならば上記の例は書けるトピックだ。ライティング力と前年度の個人の学習定着状況も把握できる。

(3)アンケート

教師が知りたい項目を書いてもらう。私は中1と飛び込みで受け持つ学年には「小学校(前の学年)で習った英語表現」「英語の授業で頑張りたいこと」「自己アピール」など、授業への意気込み、期待、既習事項を問うアンケートを行っている。

(4)観察

授業中・休憩中に生徒を観察する。特にペアやグループ活動、休憩時間には生徒同士の関係や個人の特性がよく見えてくる。英語の授業では自分の思いや考えを表現するアウトプットを多くさせたい。生徒同士が心を通わせ分かり合おうとする温かい支持的風土を培い、自己表現し易い環境づくりをするために人間関係の把握をしていく。

(5)授業外の傾聴

休憩や放課後の何気ない話の中で生徒は本音を話す。実はこれが最も重要な生徒把握と言えるかもしれない。時には丸秘情報をゲットすることもできる。生徒の言葉に心を傾けて聴く。共感し、受け入れ、傾聴する姿勢があれば生徒はさまざまなことを話す。「話を聴く」ことは生徒を一人の人として尊重し信頼関係をつくることに他ならない。

(6)日記

話すより書くことを通し自分や仲間のことを語ってくれる生徒もいる。本校では、学級担任は時間割・連絡事項・日記を記入するデイリーノートを介し生徒と交流する。私は担任外の学級では、英語の自主学ノートの中にメッセージコーナーを設け生徒の思いや考えを把握するようにしている。

(7)教員間の交流

他教科での生徒の様子を聴いたり授業観察をしたりすることで、より一層生徒の実態把握ができる。この交流は生徒に関する気づきの宝庫である。教員間の連携で生徒の学びの質を高めることにもなる。

最後に

私は4月の段階で①人間関係の構築②授業規律の確立③学習習慣の確立の3点に全力を注ぐ。しかし、ベースに人間関係がなく生徒理解ができていない教師は無力だ。私達教師は、生徒理解を通じて指導力、人間力を高めている。地道に生徒と関わり信頼関係を構築する中で、生徒の成長を支えていきたい。(広島市立早稲田中学校)

胡子先生の一言コメント

I’ll be the first penguin! 新しい出会いにワクワクしています

本稿は大修館書店の英語教育に掲載された胡子美由紀氏の報告を胡子先生にご寄稿いただき、本サイトに再掲載したものです。さらに英語教育についての様々な情報を得るには、「英語教育」の購読をオススメします


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