Lesson1 いらっしゃいませ

 

「いらっしゃいませ。3800円になります。ありがとうございました」

「たつきさん、新刊の平積みお願いします」

 

僕の名前は本屋 樹(モトヤ タツキ)。これで本屋に勤めているのだから我ながら面白い。35歳にもなると周りの連中はみんな会社の中堅どころ。結構、仕事も忙しいみたいだが、会社が次々と英語を公用語化しているらしい。ビジネス英語がどうのこうのってこの前の同窓会で話していた。TOEICが昇進に必要だとかも言っていたな。書店はそういうところは無縁なのが唯一の救いだと思っていたのだが……

「Excuse me. Do you speak English?」

「え…あ…ソーリー」

これだ、最近の悩みは。東京オリンピックの影響なのか、やたら外国人がうちの店にも来るようになった。こんなんだったら学生時代ちゃんと勉強しておけばよかった。

「May I help you?」

「$#%&&%$#“.」

すごいな、彼女は。彼女はこの書店で唯一英語ができる山崎 英実(ヤマザキ ヒデミ)。外国人が来るといつも彼女を呼ぶしかないのだ。

 

「いつもありがとうね」

「本当ですよ。そろそろタツキさんも覚えてくださいよ!」

「いやしかし今更英語なんて……」

「そうだ、私教えましょうか!そうだ、そうしましょう」

blackboard

ということで、なかば強引に始まってしまった英語レッスン。彼女はノリノリだ。まあ、折角だし、この機会にチャレンジしてみようか。

「早速、今回のお題ですが……」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺は文法もほとんど覚えていないし、英単語だって自信がない。第一、発音が……」

「はいはい、日本人お得意のアレですね。良いですか?私だって日本人なんですよ?それにビジネスに使う英語は”全てを網羅する必要なんてない”んです。よく使う言葉を覚えておけばそれで良いんですよ」

「え?そうなの?一般動詞、とか現在完了とか知らないよ?」

「あはは、そういう細かいことは必要になったら覚えればいいですよ。でも英語がペラペラな人はそういうことは気にしていない人が多いみたいですよ。他に言いたいことはありますか?」

「え、いや、ありません」

「よろしい、ではいきます。今日はコチラ」

いらっしゃいませ

いつの間に用意したのだろうか、突然フリップボードが飛び出して来た。もしかして彼女は、こういうのが好きなのだろうか。

「確かによく使うな」

「接客をするビジネスでは欠かせない一言ですね。英語だとこういう風に言います」

Welcome!

「ウェルカム?」

「Good!そうそう、そんな感じです。語尾を上げて、笑顔も忘れちゃダメですよ」

「こ、こうか?」

「そうそう!Great!良いですね!センスありますよ!」

この歳になると誰かに褒められることなんてないから、ちょっと楽しい。そうか、英語は座って、鉛筆、ノートが基本だと思ったがそうでもないんだな。それにしても英実さん、ノリノリだな。

 

「では、もう少し長くしみましょうか」

Welcome to our store!

「ウェルカムトゥーアワーストア!」

「very good!完璧です!え、できるじゃないですか?!今日はこの辺で終わりにしますね。何度も声にだして読んで練習して下さいね!次回は何やろうかな♫」

 

こうして今日から、英実先生のもとで英語のレッスンが始まったのだ。

 

<今日のおさらい>

いらっしゃいませ

Welcome!

Welcome to our store!

Welcome to “○○” (〇〇の部分にはお店の名前を入れて下さい)

*ワンポイントアドバイス*

一息で言い切りましょう。笑顔もあると素敵なご挨拶に。お客様も安心しますよ!

 

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